”私は現在という時に完全に属してしまいたくない。
過去にも愛するものがある。
私はある人々が食物や愛欲を切望するするように雰囲気を追い求めている。
ヨーロッパにいる時はただ出かけて行って街の匂いを嗅ぐ。
たとえそれが憂鬱で、陰気で、あまりにも混乱するようなものであっても。
パリでは感じる・・・どこか超現実的で、舞台背景になるような、
そして少し位置を変えるとあらゆるものが劇場になる。漂う刻が過去に恋するように。”
------- デボラ・ターバヴィル
Deborah Turbeville
『聖マリア・キャンデラの旅』
ガラスの箱の中からくたびれた聖母マリア像が、あざ笑うのか横目でにらむのかどちらとも思える表情を浮かべ、
私をじっと見すえているのです。
像の冠はずれ落ちているばかりか、
赤ん坊を片手で何とも不安定に抱いていました。